バブル経済が終わる前。営業ウーマンだったわたしは、一年中ChanelのAllure Eau de Toiletteをまとっていました。大好きな香りでした。
子どもが生まれて身にまとう香は、柔軟仕上げ剤の香りに代わりました。お気に入りはファーファ。かれこれ20年愛用しています。
空気をきれいにするオイルランプ、ランプベルジェ、アシュレイ&バーウッドは、転勤で旭川に行き、寒い冬に気分が落ち込んでいた時、友人が教えてくれました。主にインフルエンザが流行る秋口から冬にかけて使っています。専用のランプはカタチも色も輝きも大好きです。友人は私がマルタ留学で滅入っているときに、ロクシタンのヴァーベナの香りを教えてくれ、自分を癒す方法を教えてくれました。
50代に乗ったころから、柔軟仕上げ剤の香りが重たく感じてきました。興味本位で柔軟仕上げ剤の成分、その仕組みを調べてからは、アタマにその図が浮かぶのです。柔軟仕上げ剤を洗濯機に入れるたびに「これって、化学物質だよなぁ」と。
優しい香を求めていろいろ試しましたが、衣類のふわふわ感と香りのバランスがいいのは私にとってはファーファでした。
日本の植物や果実で「かほり」を作り出す調香師さんを知る
わたしが天然の香りが欲しいと知った、香道や、茶道に詳しい友人が、「日本の無農薬の植物や果実を使ってかおりを作り出す人がいるんです。ご紹介したいです!!」と教えてくれたのが調香師の沙里さん。3年前のことでした。ワークショップが開催されるたびにお声掛け頂いたのですが、時間が合わず。今思えば、「タイミング」ではなかったのだともいます。
目の前で調合。かおりの掛け算に感動する
念願かなって、本日沙里さんに調合してもらえました。問診票のような紙に、
これまでどんな香りをつかっていたか
どんな香りが好きか
どんな音楽を聴くか
使いたい場はどんな場か
を聞き、メモをとる姿は、さながらドクターのような感じでした。どんな音楽を聴くかという質問は、沙里さんが音楽に囲まれた環境で育ち、イメージする材料として使っているとのことでした。これまでの香りの変遷をお伝えし、音楽は、クラッシックからBTSまでかなり幅が広いことを伝えました。クラッシックに置いては、楽器が奏でる「音」から奏者がどんな姿で奏でているか想像するのが好きだと、いささかマニアックなことを伝えました。
日本の豊かさで出来た精油
沙里さんの精油は日本に存在しないわずかな種だけ海外で入手し、それ以外は日本の、それも無農薬の植物や果実を使っています。細長い紙に、香を吹き付け、マスクをずらし、その香りを嗅ぐ。コロナがなければもっと嗅ぎやすかったのに……と思ったのもつかの間。しっかり香りを感じられました。どの香りも凛としていて、柔らかく香る精油もどこかシャープといか、輪郭がはっきりしていました。鼻腔から脳、そして全身にその香りが広がり、全細胞に行き届く感じがしました。
紙に落とした香を束にして、はたはたと仰ぐと、一つの香りになりました。これが調合というものか!! わたしだけの「かほり」の完成。目の前で、精油をブレンドし、アトマイザ―に。シンプルなそのデザインは、余計なものは全く入っていませんと主張しているかのようでした。
一日の感謝と、はじまりのご挨拶用に
かくしてワタシの「かほり」は完成しました。夜寝る前はきょう一日に感謝し、朝は起きたら軽やかに過ごせるよう身にまといます。
この香がなくなるころは、きっといまと違う自分がいると思うのです。その時はまた沙里さんと対話をしながら自分の「かほり」を作ります。
また一つ幸せ貯金が増えました。
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